一年のなかで待ち遠しい新米の季節。
実りの秋、炊きたて新米ごはんと旬の味覚を一緒に食べる!
美味しい食材もテーブルに並びますね。
まさに食欲の秋、ついつい「おかわり!」してしまいます。
旬のものをお米と食べる、幸せな瞬間ですね。
◎生産者さんに感謝
米どころの山形では「はえぬき」「つや姫」「雪若丸」などのお米の新米が、9月末から順次出荷され始めます。
比較的自然災害の少ない山形でも、ここ2~3年は冷夏に酷暑に大雨などの天候不順に悩まされ、農家さん泣かせの年が続いており、今年も収穫量はかなり少ないようです。
ですが、収穫量に比べて品質は去年よりも良さそうな感じなので、米屋としては一安心しています。
どんな気象状況下でも美味しいお米を育ててくれる、プロの生産者さんの努力には心から感謝です。
◎やっぱり新米って、美味しい!
毎年出荷されて食卓に届けられる新米。
日本のお米は「秋にできるもの」というイメージがありますよね。
でも縦に長い日本列島、九州から北海道まで季節差もありますね。九州ではだいたい8月上旬頃からお米が収穫され始めます。関東では9月、東北~北海道では10月くらいが収穫時期です。(※場所により11月収穫もあり)
・では新米っていつからいつまでなの?
新米と呼ばれるお米は、その年に収穫されたお米を指します。これには法律によって明確にルール付けがなされていて、収穫した年の12月31日までに精米・袋詰めされたお米のみが「新米」と呼ばれるんです。袋に「精米年月日」が記されているので見てみてくださいね。
・なんで新米が人気?
太古の昔から日本人とお米は切っても切れない縁で結ばれています。年貢や給料支給がお米だったこともその証拠。天皇陛下が行う宮中行事でも、五穀豊穣に感謝して神様に捧げ自らも食する「新嘗祭」が毎年11月23日に執り行われます。
新しい・穢れ無きものを喜ぶと言うのは、日本人の昔からある風習です。
そして無事に収穫できた喜び、自然への感謝、今年1年の食に対する不安の解消など、日本人の精神性をとても表しています。さまざまな味覚を「初物」として別格に扱ってきた名残でもあります。
春の山菜、夏の初鰹、秋のサンマなどなど、旬の初物は強い生命力を持っていて、それを食べることでて生命力(寿命)を得られると考えてきました。
こうした初物を、収穫の喜びとともに美味しく味わうことが、日本人の風習とされてきました。
・新米の良さ
こうした新米には、新米だからこその良さが大きく3つあります。その美味しさを見てみましょう。
①みずみずしさ
稲刈りの後、脱穀されたばかりのお米を見たことがありませんか?まるで水晶のような透明感、その秘密はみずみずしさを保つ水分量の豊富さ。
収穫されて間もない新米は、古米に比べ水分量が多く、ひとつひとつの粒にみずみずしさがあります。この新米を炊くと、お米がツヤツヤでピカピカ光っています。こうしたみずみずしさが、口の中に入れたときアツアツ加減と相まって鮮度の高いジューシーな舌触りです。
②粘りがある
お米の約7割以上を占めるデンプン質。新米は豊富に含まれます。水分を含み加熱することで、デンプン質が糊のようになり粘りと旨みを引き出します。また、食べたときに消化がよくなる成分に変化します。
もちもちとして粘りがある新米の秘密が、ここにあります。
③香りと風味が豊か
収穫したての新米には、さっぱりとした甘い香りがあります。触りもツヤツヤでしっとりとして滑らかです。また噛んでもじわーっと旨みと甘さが感じられるのが、大きな特徴です。
・新米の弱点
今挙げた部分が実はそのまま弱点でもあります…
みずみずしさがあるということは、炊くときの水分量が難しいということ。べちゃべちゃになりがちです。それに炊くときの洗い方にも味や風味が左右されてしまいます。
香りと風味が豊かなのも、時間が経てばなくなります。だから保管方法も大切です。
お米って実は生鮮食品だって知っていましたか?なので、精米された瞬間から、お米の鮮度も味も落ちていきます。(夏場では2~3週間、冬場でも1カ月足らずで食味は落ちるので、米屋は精米日にこだわっています)
そして新米は1年経つと新米ではなくなってしまい、古米と呼ばれるようになります。
となると、やっぱり古米よりも新米を優先して食べたほうが美味しいんでしょうか?
◎古米の魅力再確認
・古米っていつから古米なの?
古米と呼ばれるようになるのは、次の新米が出ると自動的に古米として扱われます。
つまり、その年より前に収穫されたお米は全て『古米』になるんです。ただ、古米の期間も一年で終了してしまい、それ以降は古古米、古古古米…と一年ごとに『古』を増やして呼ばれます。
じゃあ古米は古くなるばかりで、いいところがないのでしょうか??
・古米の良さ
古米にも実は、しっかり良いところがあるんです!
それは新米の特徴と比べれば分かります。
①一粒ずつしっかり炊き上がる
みずみずしい新米に比べ水分が抜け硬めな古米は、くっつきにくく炊き上がります。新米のように粘り気がないため、料理によっては古米の方が選ばれるんです。ごはんの粒をしっかり味わいたい料理では、古米の方が選ばれます。
例えば、お寿司・チャーハン・ピラフ・リゾット・カレーなど、古米の食感の良さを充分に引き出した料理です。
尾形米穀店でも、世界的な評価を得ている東京のお寿司屋さんからは、古米指定で注文が入ってきます。
②お米が、”増える”
またみずみずしさが無い分水を足して炊くことで、炊き上がるお米の量が多くなるんです!(炊き増えといいます)。育ち盛りのお子さんがモリモリごはんを食べるご家庭では、この炊き増えはとても重宝するんですよ。同じ1kgお米を買っても炊いたら量が増えるなんて、嬉しいですよね。
③保管次第で新米を超える甘さに
お米もワインなどと同じように、低温で熟成するのをご存じですか?
玄米に最適な保管環境は、気温13℃~15℃・湿度約70%と言われています。
この環境下で長期間保管された玄米は、ワインなどと同じく熟成され、より多くの甘味や旨味を産み出します。
さらに、尾形米穀店では、冬場はあえて低温倉庫の電源を切っています。なぜなら、気温が氷点下にまで下がる山形の冬では、この寒さが糖分を凝縮させる効果もあると考えられるからです。(アイスワインにも通ずると思います)
実際に長野県のマイパール長野さんでは、氷温熟成米という保管技術も確立されています。
◆氷温熟成米のご紹介(マイパール長野さんのHPです)
http://www.mypearl.co.jp/product/hyouon.html
こうした違いを生み出すのが低温倉庫での保管です。
尾形米穀店でももちろん低温倉庫は備えていますし、外部の大きな低温倉庫とも契約をして、入りきらない部分はそちらで保管して頂いています。また、取引のある生産者さんも、皆さん、低温倉庫は備えています。
だいぶ低温倉庫も普及してきていると思いますが、兼業農家さんは備えていない所も多いようなので、生産者さんを選ぶときは、低温倉庫の有無を確認するのも大事です。
どんどんと積み上がる古米…古くなるとお米はどうなってしまうのでしょうか?
・古米の弱点
古米の弱点は、新米の良い所と比較すると見えてきます。
古米がもっとも弱点とするのは、古米独特の「臭い」です。新米が美味しいからと大量に買って米櫃保管しても、お米の劣化は早いです。
お米を炊いて炊飯器の蓋を開けた瞬間……なんとも言えない臭いを感じたことはありませんか?
当然味も酸味があり、おかずがちっとも美味しくない!むしろ不味いです…
この臭いの原因は、お米が持つ脂質が変化して臭いを出すのと、お米表面の酸化が原因。
そして時間が経つと水分が抜けて米粒自体が硬くなってきます。新米にみられるモチモチ感が無くなり、食感や食味が落ちてきます。
精米されたお米を「冷蔵庫に入れておけばいいだろう」とたくさん購入しても、それってとても勿体無いんです。
そこは食べる量に合わせて都度購入すれば、常に新鮮なお米を食べることができます。
◎新米と古米の比較表
新米・古米の良いところや弱点は表裏一体。そしてそこには食べる人の好みや、お米を使った料理の種類によりけりです。
どちらが美味しいかどうかではなく、新米には新米の良さがあって、新米から古米になったお米にもその良さがありますね。秋にお目見えする新米を食べるもよし、しっかり冷蔵保管されている古米を食べるのもよしです。
食べ盛りのお子さんがいるご家庭では、炊き増えする古米はむしろ新米より人気が高いです。お寿司やチャーハンは子どもたちにも人気のメニューですね!
尾形米穀店ではいろいろなお米を食べ比べて、あなたの食卓が毎日楽しくなるご提案・御提供ををしています。
新米がたくさん流通する季節には、新米同士でいろんな銘柄を食べ比べてみて新米同士の味の違いを楽しむのもおススメです。また、同じ銘柄の新米と古米を食べ比べしてみれば、風味や味の違いがハッキリ分かってよりお米の魅力再発見となりますよ。