まぼろしのお米

2021年01月14日
2016年09月26日

目次

山形米の専門店 尾形米穀店 尾形雄司です。

9月下旬、尾形米穀店でも最も米の少ない時期になりました。

TVのニュースでは新米の収穫なども放送されたりして、
問合せもたくさん頂戴していますが、以前のブログでも書いた理由で、
残念ながら、当店にはまだ新米はありません^^;

◆「はえぬき」と「どまんなか」入荷予定

ただ、今週末には平成28年産の新米の第一弾として、
鶴岡市の生産者さんで、和名川ファーム産の
「はえぬき」「どまんなか」が、まもなく入荷する予定です。

和名川ファームさんのお米は、毎年そうなのですが、
売るのがもったいなくなるほどに見た目がキレイです。
今年はどんなお米が入荷してくるのか、楽しみですね。

◆「さわのはなってあります?」

さて、今日の本題で…

先日、お店にご来店頂いたお客様から、
さわのはなっていうお米、ありますか?」
と、問合せを頂きました。

なんでも、山形市内の西バイパス沿いにあるとんかつ屋さん(どこだろう…?)で
食べたごはんがやたらと美味しく、お店の方に何のお米か聞いたところ、

「まぼろしの米と言われている、さわのはなというお米です。」

と、言われたそうで、
それで、当店に来て頂いたとの事でした。

◆品種自体が無くなりかけた、さわのはな

そんな「さわのはな」。
あまり聞き馴染みのないお米かもしれませんが、それもそのはずで、
50年以上前に山形県尾花沢市で生まれた古いお米です。

ただ、その食味の良さは農家の中では広く知られており、
「自分の家で食べるお米は、絶対にさわのはな!」
という農家さんも数多くいたようです。

当店とお付き合いのある農家さんたちに聞いても、口を揃えて、
「作りづらかったけど、あの米(さわのはな)は美味かった。」と言われます。

しかし、収穫量の少なさや栽培が難しい等の理由から、
1997年に山形県の奨励指定品種から外れてしまいました。

『奨励品種から外れる=種子の生産・供給が止まる』という事で、
種が無くなれば当然、「さわのはな」を作ることはできないので、
「さわのはな」という品種自体が無くなる。という事を意味します。

「この美味しいお米が無くなるのは惜しい…」と、
さわのはなの種の保存と復活に取り掛かったのが、
当店で「さわのはな」を仕入れている山形県長井市の生産者、
遠藤孝太郎さんを中心とする「さわのはな倶楽部」のメンバーでした。

◆江戸時代から続く農家の系譜

 

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遠藤家9代目・孝志さん

山形県南部、人口約28,000人の地方都市・長井市。
山形県内を流れる母なる川・最上川の上流域に当たり、
江戸時代には船運で栄えた町です。

その長井市の時庭(ときにわ)という地区で米作りをされているのが遠藤さん。
田んぼの中に島のように防風林を備えた住宅が点在する、
「散居集落」と呼ばれる独特の景観の中に遠藤さんのご自宅があります。

遠藤家は江戸時代から代々続く農家の系譜で、
現在は8代目の孝太郎さん・9代目の孝志さんの親子で、
農薬や化学肥料を極力使わない農作物作りをされています。

◆自ら種を管理し、特別優秀賞を取るまでに

 

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防風林を備えた遠藤さんのご自宅

遠藤さんは、さわのはなの種が完全に無くなる前に、
自分たちで管理しようと決断されたそうで、
さわのはな」の開発者から話を聞いたりなど、
さわのはなの特性を知るために、様々な努力をされたそうです。

また、化学肥料に弱い「さわのはな」を育てる為に、
有機質の肥料に変えたり、アイガモ農法を取り入れたりなど、
「さわのはな倶楽部」のメンバーで試行錯誤を繰り返した結果、
2005年の全国食味コンテストでの金賞を皮切りに7年連続での入賞
さらには特別優秀賞を取るなど、「さわのはな」の食味の良さは、
時代を越えて、改めて評価されています。

◆栽培量は少ないけれど…

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はじめて訪問した際には、丁度、苗を育てている時期でした

希少品種のため、栽培量も少ないさわのはなですが、
平成28年産の新米も10月下旬~11月上旬頃に入荷予定です。
(27年産は、先日、最後の1袋を頂き、あと20kg位は残っています。)

新米の仕入れの際には、遠藤さんにまたたくさんお話を伺って、
さわのはなの魅力と遠藤さんの取組をお伝えしていきたいと思っています。

p.s
さわのはな」のお問合せでご来店いただいたお客様は、
最終的には「さわのはな」ではなく、「さわのはな」を親とする
超希少品種のお米をご購入いただきました^^;

そのお米の事はまた後日、ブログに書ければと思います。


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山形米の専門店 尾形米穀店

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